中学校長インタビュー

2008年10月 武蔵高等学校・中学校 校長  山崎元男 先生

農業実習、保育体験など体験学習を通して豊かな心を育む

神田
カリキュラムにはどのような特徴がありますか。
山崎
中高6年一貫のカリキュラムのなかで、学年ごとに柱を設けています。中1は山上学校、中2は海浜学校、中3は第2外国語、高1は総合講座、高2はキャリアガイダンスです。中1の山上学校は、赤城山の寮に泊まって山登りや自然観察を行うものです。自分たちでコンパスを持ち、地図を見ながらコースを決めます。中2の海浜学校は命にかかわりますから、規律を重んじることを重視して行っています。中3の第2外国語は選択必修で、英語圏ではない国や地域の文化を学ぼうということで、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語の講座を設けています。言語を学ぶことによって視野を広げてほしいというのが願いです。高1の総合講座は、1講座6、7人で、体験学習を主体に自分たちのやりたいことに取り組もうというものです。対馬での養蜂体験や漁業体験、東京近郊での農業体験など、およそ30の講座を設けています。なかには「幼稚園で学ぼう」という講座もあります。教員の知り合いの幼稚園にお願いして、幼稚園児の世話などをさせていただいています。園児がまとわりついてくるので最初は戸惑うようですが、少しずつ慣れていきます。
神田
男子校で保育実習のようなものがあるのは珍しいですね。泣かれたりおもらしされたり、ふだんは体験できないことに出くわすでしょうが、自分なりにどう考えて対処するか、また自分より弱いものに対する思いをどう膨らませていけるかなど、学ぶことがたくさんありますね。
山崎
イートンでも、子どもたちの世話をしに生徒たちが幼稚園に行きます。イートンへ行った教員が「幼稚園で学ぼう」を開講しているので、イギリスでの見聞もきっかけになっていると思います。
神田
カリキュラムを拝見しましたが、家庭科教育にもしっかり取り組んでいらっしゃいますね。
山崎
男子校に家庭科が導入されたのは1985年ごろですが、われわれはその前から家庭科をどうするかを議論していました。非常勤の先生に来ていただく方法もあります。しかし、家庭科とは「生きる力」だと考えれば、われわれ教員が手分けして、体験学習を主体に家庭科の代わりになる授業ができるのではないか。そう考えてはじめたのが農業実習であり、酪農実習であり、環境測定などであったわけです。それから十数年後に総合的な学習の時間が導入されましたが、総合的な学習がめざしているのは、われわれがやってきた家庭科だったのです。

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