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「ピグマキッズくらぶ」 なんでも質問箱

−No.9− さぴあ2000年12月号に掲載

条件を整理して考える問題、推理する問題への取り組み方は?
 ピグマシリーズの算数では、数や図形そのものを直接扱わず、問題文に示された条件から、推理をしなければならないような問題もよく出てきます。一見、国語の問題のようにも思えますが、そのねらいはどのようなところにあるのでしょうか。また、算数の学習にはどう活かされるのでしょうか。


算数には条件を整理して推理する能力が不可欠。論理的な思考力の芽を育てるのがねらい。

 中学入試の算数で問われる力とは、あえて一言で言うならば、「いかに与えられた条件を整理して、論理的に考えることができるか」ということに尽きるでしょう。そこでピグマシリーズの算数のテキストでは、低学年生なりに筋道を立てて考えて、正解を導いていくような問題を数多く取り上げています。「論理パズル」もその1つです。これは、与えられた条件を分析し、その条件の裏にひそむ問題解決のためのヒントを探り出し、解答を推理するパズルで、論理的な思考力を高めるには最適なものです。
 例えば、2年生3月号のテキスト『すいりしよう』では、登場するキャラクターたちがかけっこをしたという設定で、それぞれのキャラクターたちの「わたしは○位じゃなかった」「ぼくは○○くんより前だった」などの発言から、順位を決めていくという問題を扱っています。これに似た問題は、大人向けのパズルの本などにもよく載っています。
 一見難しそうな問題に見えても、登場するキャラクターのせりふの中には必ずヒントが含まれています。

つまり、条件を別な角度から見ることによって、解決への手がかりが見えてくるのです。例えば、かけっこの問題で、「ぼくのあとにゴールに入った人がいたよ」というのはどういうことかといえば、最下位ではなかったということです。4人いるなら少なくとも4位ではなく、1位、2位、3位のどれかだということになるわけです。このような言い換えに慣れておく必要があります。
 また、3年生4月号のテキスト『エープリル・フール』では、それぞれちがった服装をしている6人のピグマはかせのうち5人はにせもので、1人だけいる本物のはかせを当てるという問題を扱っています。それぞれのはかせは、「本物のはかせのズボンは青い」「本物のはかせは赤い上着は着ていない」などと言っていますが、それはすべてうそで、その「うそ」を手がかりにして考えていくわけです。


 ここで気づかなければならないのは、「うそ」は「本当」の裏返しであるということです。「本物のはかせはぼうしをかぶっている」というのがうそだということは、つまり「本物のはかせはぼうしをかぶっていない」ということなのです。したがって、ぼうしをかぶっているはかせは本物ではありえないことになります。このようにして、本物ではありえないものを1つ1つ除外していって、最後に残ったのが本物のはかせということになります。
 このような問題を敬遠するお子様もいるのではないかと思いますが、探偵になった気分で、楽しく取り組んでみていただきたいものです。ありえない可能性を1つ1つ除外していって、真実は何かをつきとめるというやり方は、本物の探偵と同じやり方であると言えます。時には、考え方の糸口さえもつかめず、お手上げということもあるかもしれませんが、そのような時は、ご父母の方が父母用指導書などを参考にされて、お子様に適切なヒントを与えてあげてください。何か1つのことに気づけば、あとは案外すらすらと解けていくものです。

 ただ、学年によって、求められる思考力にはちがいがあります。1年生のお子様には、まだ論理的な思考力を要求するのは酷というものでしょう。しかし、文章から条件を正確に読み取る訓練を積んでいくことはできます。いくつか条件がある時は、1つの条件に合うものを選び出し、選び出したものにまた次の条件を当てはめて、対象をしぼっていき、すべての条件に合うものを特定していくという考え方を、まず身につけていただきたいと思います。
 2年生、3年生になると、「○○は××だ」という肯定表現だけでなく、「○○は××ではない」という否定表現から、消去法で当てはまるものを決定していく、という考え方も身につけていかなければなりません。このような問題を考える時のコツは、表を作ることです。条件が複雑になってくると、頭の中だけで考えていたのでは混乱してしまいます。条件を表に整理するだけで、おもしろいように正解がわかってしまうこともあります。

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 例えば、4つのうちどれか1つ当てはまるものがあるという場合、そのうち3つまでがすべて当てはまらないとわかったら、最後に残った1つが求める答えということになるのです。このような考え方を理解することも大切です。こうした作業を通して、知らず知らずのうちに、論理的にものを考えるとはどういうことかがわかってくるのです。
 このように、頭の中だけで考えるのではなく、表をかいたり、図をかいたりと手を動かしながら考えることは、論理問題に限らず、どのような問題を考える上でも非常に重要になります。こうした習慣を早い時期から身につけておくと、その後の学習効果もちがってくるでしょう。
 論理パズルのような問題は、一見、算数とは関係ないようにも思われますが、条件を整理する能力は、算数の問題を解く上では絶対に欠かすことができないものです。数そのものを扱うわけではなくても、算数の1つの分野と言えるのです。したがって、中学入試でも出題されることはよくあります。しかし、短時間で考え方の糸口がひらめくようになるためには、やはり慣れが必要です。このような問題を解いた経験がまったくないようだと、いざ入試に出題された時には、時間切れということになってしまうかもしれません。

 最近の難関中学校でよく出題されている問題は、教えられた解き方をそのまま当てはめただけでは、まず解くことはできません。知識や受験テクニックを詰め込むだけの付け焼き刃の勉強法では対応できないということです。その場で試行錯誤しながら、自分の頭で粘り強く考えて解かなければならない問題が目立っているのです。
 その点、論理パズルのような問題は、まさに考える力を試すには絶好の素材と言えます。このような問題が、中学入試でも多く出題されているということは、多くの学校が、どれだけ多くの知識を丸暗記しているかではなく、自ら考えて問題解決のできる資質を持った生徒を多く入学させたいと考えていることの表れにほかなりません。
 サピックスが一貫して「思考力」を重視した指導を実践しているのも、算数を通して養った思考力は、ほかの教科の学習にはもちろん、中学校以降でのより高度な学習や日常の生活にも、必ず活きてくると考えているからです。ぜひ、自分で問題を解決することの楽しさを味わって、「考える」ことが好きになっていただきたいと思います。「ピグマ」がそのための良い手助けとなれば幸いです。

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