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他人に読めないような乱暴な文字や、他の文字とまぎらわしい文字を書いたりして、テストで減点された経験のあるお子様は多いことと思います。文字というものは本来、他人に読んでもらうためのものですが、それ以前に自分自身も読めないような文字を書いていては、勉強したノートを後で復習することもできないでしょう。ふだんいい加減な文字を書いていて、テストの時だけ上手に書こうと思ってもそれは不可能です。
心をこめてていねいに文字を書くことには、相手が読みやすくなるということのほかにも、いろいろな効果があります。まず、集中力が養われます。教科書の文章や先生の板書などを書き写している時は、子どもは書くことに全神経を集中させることになりますが、そのことが、ほかの勉強に無理なく入っていくための良いウォーミングアップにもなるのです。また、一生懸命文字を書くことは、学習に取り組む姿勢にも良い影響を与えるでしょう。
そのため、教科書に載っている文章などを書き写すという指導を重視している学校もあります。これは一見、頭を使わない単純作業だからむだなようにも思えますが、決してそのようなことはありません。「書く」ことは、言葉を認識することでもあります。書き写すことによって文のリズムがわかり、音声としての言葉と文字とが結びつくともいえます。
また、書き写すことは深く読むことでもあります。実際に手を動かして書き写してみると、文字を目で追っていただけでは気づかなかったこと、わかったつもりになっていたが実はわかっていなかったことに気づくものです。
国語だけでなくほかの科目でも、設問の文章をノートに書き写してみると、問題文の意味がきちんと把握できるという効果があります。特に、思い込みで問題文の意味を取り違えてしまうことが多い低学年のお子様の場合、このような方法を試してみれば、ケアレスミスを減らすことができるのではないでしょうか。
文章を書き写すことで、文章表現のしかたや表記のルールなどが自然に身につくという効果もあります。小説家をめざす人は、有名作家の文章を書き写す練習をするそうですが、そうすることによって文の長さや、読点を打つべきところなどが自然に体得できるからです。つまり、教科書の文章を書き写すことでも、それと同じような効果が期待できるわけです。このような勉強法にも、面倒だと言わずにぜひ取り組んでみていただきたいと思います。
(−No.53− さぴあ2003年2月号掲載)
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