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ご指摘の通りごく簡単な問題であれば、式を立てるまでもなく解けてしまうことがあります。しかし、そのようなやり方をしていては、今後解くべき問題が複雑になっていった時に、考え方の糸口をつかむことができなくなってしまいます。それでは、もしまちがえた場合に、どこでまちがえたのかをふり返ってみることもできません。
算数という科目では、「過程」が非常に重視されます。最終的な答えはもちろん大切ですが、どのように考えを進めていった結果、そのような答えになったのかということを、他人にもきちんと説明できなければならないのです。最終的な答えは1つでも、そこに行き着くための道は必ずしも1つではありません。そこに算数のおもしろさがあるといえます。
算数の問題に取り組むときのコツは、おはじきやタイルなどを用意して、それを動かしながら考えることです。そして、動かした通りのことを式や図に表してみればよいのです。このようにして実際に手を動かして数量の関係をしっかりつかんだ後であれば、式を立てることもそれほど難しくはないはずです。
ただし、式を立てずに問題を解いてしまうからといってお子様を責めるのは良くありません。そんな時は、ただ問題文をながめているだけではなく、何かひらめいたことがあれば、どんどん書き出してみるようご指導ください。特に、問題文の内容を絵や図に表してみることは非常に有効です。そうすることによって、一見複雑そうに見えた問題が簡単に解決してしまうこともあります。
低学年の子どもによく見られるまちがいに、数字を出てきた順にたしたりひいたりして答えを出してしまうというものがあります。「あわせて」という言葉があれば必ずたし算に、「のこりは」という言葉があれば必ずひき算にしてしまう子どももいます。こうしたまちがいの原因は、問題文の数量関係をきちんと把握していないことにあります。絵や図に表してみるという習慣がしっかりついていれば、このようなまちがいは防げるはずです。
しかし、子どもたちのノートを見てみると、ただ数式が並んでいるだけで、日本語の説明がないものもあります。これでは、それぞれの数式が何を表しているのか不明確なので、後でノートを見直しても復習することができません。そこでお勧めしたいのが、「言葉の式」を作ってみることです。言葉の式とは、たとえば「物の重さ+入れ物の重さ=全体の重さ」「払ったお金÷買った数=1個の値段」というようなものです。低学年の子どもはある個別の問題について式を立てて解くことはできても、それを一般化して考えることは苦手なものです。それが「言葉の式」を作ることで、より抽象的にものを考えることができるようになっていくのです。
また、式を立てて問題を解くことがどうしても苦手なお子様の場合は、問題を解くのではなく、逆に問題を作る練習をしてみることをお勧めします。これはぜひ親子で取り組んでみていただきたいと思います。お母さまが絵をかいてあげて、「この絵に合った問題を作ってごらん」と声をかけるというやり方がよいでしょう。
そのようにして実際にお子様に問題を作らせてみると、条件が不足していて答えが出せないものや、逆に条件が多すぎるものが必ず出てくるでしょう。しかし不完全な問題こそ、適切な問題とはどのようなものかを考えるための良い材料なのです。だから問題がいくつかできた後、もしおかしいものがあれば、どこがおかしいのか、親子で話し合ってみてください。
このような体験を重ねていくと、知らずしらずのうちに算数独特の言葉づかいや数量関係に対する理解が養われてくるので、問題文に書かれている数量関係や条件がしっかり把握できれば、適切な式が頭に浮かぶようになることでしょう。
(−No.54− さぴあ2003年2月号掲載)
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