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「ピグマキッズくらぶ」 なんでも質問箱

−No.87− さぴあ2004年9月号

子どもは言葉の意味を正しく覚えていないことが多いようですが?

 子どもと話をしたり、子どもの書いた作文を読んだりして思うことは、いろいろな言葉の意味を正しく覚えていないようだということです。テレビや友だちの影響もあるのではないかと思いますが、親としても、正しい日本語を使っているという自信があるわけではありません。今後どのようなことに気をつけさせたらよいでしょうか。


 テレビや日常会話でよく耳にする言葉であっても、本来とは違う意味で使われている可能性があります。「わかったつもり」にならず、必ず国語辞典を引いて、自分の思っていた通りの意味なのかどうか、確かめる習慣をつけるようにしましょう。

 日本語の言葉の意味や漢字の読み方などは、とても奥が深く、正解が1つに決められないものもあります。国語が得意な人や日本語にある程度自信がある人でも、間違えて覚えていたことに気づくことはあるでしょう。
 例えば、小学生にはやや難しい言葉ですが、「姑息」「憮然」「檄を飛ばす」とはそれぞれどういう意味でしょうか。順に「ひきょうな」「腹を立てている様子」「元気のない者に刺激を与えて活気づけること」という意味だと理解している方が多いのではないでしょうか。しかし、驚かれるかもしれませんが、実はこれらはすべて本来の意味ではありません。本来の意味は、それぞれ「一時しのぎ」「失望してぼんやりとしている様子」「自分の主張や考えを、広く人々に知らせて同意を求めること」です。
 この3つの言葉は、つい先日結果が発表された、文化庁の平成15年度「国語に関する世論調査」で、どのくらいの割合の人がその本来の意味を理解しているかという調査の対象になったものです。その結果、3つとも実に約70%もの人が、本来とは違う意味で理解していたことが明らかになりました。
 その原因として、まず考えられるのがテレビの影響です。この3つの言葉は、いずれもテレビでよく耳にする言葉だといえます。テレビなどで、本来とは違う意味で使われているのを聞いた人が、もともとそういう意味なのだと思いこんで日常会話でも使ったために、本来とは違う意味がこれほど広まったとも考えられます。また、似たような他の言葉との混同や、言葉そのものの語感によって誤解が生まれたということもあるでしょう。
 このように、大人でも言葉の本来の意味を理解していないことはよくあるのですから、まして小学生のお子様の場合、言葉の意味をなかなか正確に覚えられないのは無理もないことです。もちろん、言葉の意味や使い方は時代とともに変化していくものですから、ある言葉がそれまでとは違った意味で使われるようになったとしても、それを一概に否定することはできません。しかし、ある言葉を新しい意味で使うにしても、まずは基本となる本来の意味を踏まえたうえでそうすべきでしょう。
 ですから、ある言葉がテレビなどで使われているのを聞いただけでわかったつもりにならず、国語辞典で調べてみることはぜひとも必要です。お子様には、意味のよくわからない言葉に出会ったら、自分なりに意味を考え、そしてそれが正しいかどうか確認するために、国語辞典を引いてみるよう勧めてください。
 その結果、やはり自分が考えていた通りの意味だったという場合もあれば、だいたい近い意味だったが微妙に違っていた場合や、まったく違った意味だった場合もあるでしょう。そのような作業の繰り返しによって、言葉に対するセンスが磨かれ、もし知らない言葉が出てきても、文脈から意味を類推する能力も身についてくるのです。このようにして積極的に語いを増やし、より豊かな言語生活を送るように心がけましょう。
 その点、ピグマシリーズのテキストでは、ほぼ毎月「言葉」に関する問題を取り上げ、なぞなぞやクロスワードパズルなどの形で、少しでも語いを増やすことができるよう配慮しています。出てきた慣用句などは、ぜひ国語辞典で調べて、できれば実際に使っていくようにしましょう。国語辞典は、語句の説明がわかりやすく、例文が示されているもの、また二色刷りになっていたりイラストがついていたりして、見やすいものを選ぶのがよいでしょう。テキストの長文の中でも、初めて聞くような言葉が出てきたら、どんどん国語辞典を引くように心がけましょう。
 今回紹介したこの文化庁の「国語に関する世論調査」は、平成7年度以降毎年行われているもので、国民が国語に対してどのような意識を持っているかを調査するものです。今回の調査では、「パソコンや携帯電話など、情報機器の普及は日本語に影響を与えていると思うか」という趣旨の質問もありました。約8割の人が「影響はあると思う」と答えています。具体的には、「新しい言葉や言葉遣いが増える」「省略した表現が増える」などの影響があると、多くの人が感じていることがわかりました。
 中でも特に多かったのが、「漢字が書けなくなる」と答えている人です。小学生もパソコンを使用する時代になり、自分の手で漢字を書く機会は減っていることでしょう。しかし、とめ、はね、はらいなどの細かい部分にまで気を配って漢字を正確に書く練習は、やはり小学生のうちにしっかりやっておくべきです。そうすれば大人になっても、簡単に漢字を忘れるようなことはありません。
 また、新しい言葉や言葉遣いについても、形容詞の上に「超」をつけたり、「すごい」を副詞として使ったりする人が増えているという調査結果が出ています。これらは、現段階では標準的な表現と認められているわけではありませんので、書き言葉として作文などに使うことは避けるべきです。

(−No.87− さぴあ2004年9月号掲載)