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「ピグマキッズくらぶ」 なんでも質問箱

−No.90− さぴあ2004年12月号

テキストの最初のページの詩の学習法は?

 ピグマシリーズ<国語>の最初のページには、各学年とも必ず詩が載せられています。この詩には特に設問がついているわけではないので、2〜3回音読した後、そのまま先に進んでいますが、ここに詩を載せていることには、どのようなねらいがあるのでしょうか。また、どう役立てればよいのでしょうか。


 まず、言葉のおもしろさを味わい、国語という教科への導入を図ることが大きなねらいの一つです。また、毎月いろいろな詩に触れることは、普通とは違った視点からものごとを見ることにつながり、物語文などの読解力をつけるのにも大いに役立つでしょう。さらに、音読をすることで脳が活性化され、学習効果も高まるといわれています。

 詩というものは直接的な表現を避けて、比喩をたくみに使っていることが多いためか、物語文などと比べると、苦手意識を持つお子様が多いようです。しかし、いろいろな解釈ができ、自由にイメージをふくらませることができるという点では、これほどおもしろい文学のジャンルはないともいえます。
 中学入試で必ず詩を出題するのは、筑波大附駒場、雙葉など一部の限られた学校ですが、それ以外の学校をめざすお子様にとっても、詩を学習することには大きな意味があります。詩を読むことで養われる豊かな感受性は、物語文や随筆文などを味わううえでも役に立つからです。
 たとえば、詩は他のジャンルの文学作品と比べて、ものごとを普通とは違った視点から見て表現したものが多いのが特徴です。物語文は人間の視点からえがかれている場合がほとんどですが、詩の場合は、動植物や無生物を擬人化した表現が非常に多く見られます。また、逆立ちすることを「両手で地球を持っている」と表現したり、写真のことを「時間を止める魔法」だと言ったり、ユニークな発想のもとに書かれた詩もたくさんあります。お子様にとって、一つひとつの詩との出会いは「こんな視点もあるのか」「こんな発想もできるのか」という驚きの連続でしょう。ピグマシリーズのテキストに毎月必ず詩を載せているのは、お子様にできる限りいろいろな発想に触れていただきたいからです。違った視点からものを見ることができる力は、物語文を読むうえでも不可欠ですし、他者への思いやりにもつながります。
 また、詩を読むことで、音声としての言葉そのものに対する感覚が磨かれるという効果もあります。詩では同じ語句の繰り返しが多く、それぞれの行の最後が同じ音で終わっていたり(脚韻)、擬態語・擬声語がたくさん使われていたりすることもよくあります。そのような詩を味わうには、声に出して読まなければ意味がないといってもよいほどです。ぜひ、全文を覚えてしまうくらい何度も声に出して読んでみてください。テキスト朗読CDには、最初のページの詩の朗読ももちろん収録されていますので、それを手本にしながらも、どの部分を大きな声で読み、どの部分を小さな声で読むか、どんなリズムで読むかなどを自分なりに考えて、「表現」することにもぜひチャレンジしてみてください。
 ところで最近、『声に出して読みたい日本語』という本がベストセラーになるなど、音読が静かなブームになっています。これは戦後の日本で、有名な古典や文学作品の一節を朗読したり暗誦したりすることがあまり重視されてこなかったことの反動とも思われます。しかし、昔の寺子屋や私塾では、論語などの「素読」が重視されていましたし、諸外国でも、子どもたちに古典などを何度も読ませて暗誦させることは、教育の中で広く行われてきました。意味のわからないものをただ覚えさせるのはどうかという批判もありますが、たとえその時は十分に理解できなかったとしても、頭の中に名文といわれる文を多くストックしておくことは、将来、古典も含めた本格的な国語学習に進む時に大いに役立ちます。
 もちろん、音読は万能というわけではなく、中学生以上のお子様にとっては、目で活字を追う作業としての読書も欠かせません。しかし小学生にとっては、音読の効果は非常に大きいので、ぜひ実行していただきたいと思います。自分自身が声を出して読んだり、また他人が読んでいるのを聞いたりすることは、集中力を養うことにも効果があります。まだ自力で文字を追って読んでいくことに抵抗があるような低学年のお子様の場合は、はじめはお母様が読み聞かせをしてあげてもよいでしょう。
 また、音読には脳を活性化させる効果もあるといわれています。東北大学の川島隆太教授によると、脳の司令塔ともいえる「前頭前野」と呼ばれる部分が最も活性化されるのは、意外にも「音読」や「単純計算」を行っている時だということです。事実、小学生のグループに単語の記憶力などのテストを行ったところ、事前に音読や計算をさせたグループと、そうでないグループとでは、前者の方が成績が良かったという研究結果も出ています。このことに着目してか、授業前に必ず音読をさせるようにして、子どもたちの学力アップに効果を上げている学校もあります。スポーツをする前には必ず準備運動をしますが、勉強も同じように、始める前に音読をすることが良いウォーミングアップになり、学習効果を高めるといえるようです。
 毎回ピグマのテキストに取り組む前に、最初のページの詩を声に出して読むようにするのもよいでしょう。読んだ後で設問に答えなければならないということはありませんので、自由に想像の翼を広げて、発想のユニークさや、音そのもののおもしろさを十分に味わってみてください。

(−No.90− さぴあ2004年12月号掲載)