ご挨拶

SAPIXは、1989年の創立以来、論理的な思考力と表現力、知識のみにとらわれない豊かな感性、そして主体的に学ぶ姿勢の育成を教育理念として掲げ、受験指導に携わってまいりました。現在のSAPIXがあるのは、子どもたちの志望校合格を一途に願い、卒業生の社会での活躍を期待するスタッフ一人ひとりが惜しみない努力を続けてきたからだと自負しております。

三十余年の時を経て、社会を取り巻く環境は大きく変わりつつあります。たとえば、多様なバックグラウンドや考え方を持つ世界の人々との対話が、これまで以上に求められています。そして、新型コロナウイルスの世界的大流行によって教育現場のICT化が進み、人工知能を活用した学びも珍しいものではなくなりました。

しかし、子どもたちと教師との双方向のコミュニケーションによる討論式授業の価値はいささかも揺らぐことはありません。中学受験、特に難関校の入学試験においては、その基礎となる論理的思考力と記述表現力が重視されています。さらに、さまざまなイノベーションがこれまでの知識を一気に時代遅れにしてしまう社会では、知識の活用力に加えて、創造的かつ主体的な学びの能力も重要になってきます。

子どもたちは、すでに確立した知を学ぶだけでなく、直面する現実を自分の目で観察し、そこに問いを見出して、自ら課題を解決する力を養う必要があります。そのために何よりも大切なのは、学ぶことを好きになることと日々の小さな努力の積み重ねです。成長期に身につけた能力は、社会という、より高いステージで実力を発揮するための根幹をなす一生の財産となります。SAPIXでともに学び、輝かしい未来を切り拓きましょう。

SAPIX YOZEMI GROUP 共同代表
サピックス小学部 代表
代々木ゼミナール 副理事長
髙宮 敏郎