サピックス特別インタビュー

算数入試で問う力、
数学力を伸ばす〜巣鴨中編〜

2025.04.23

巣鴨中学校・高等学校は、「少年は可能性の塊だ」をモットーに掲げる男子校です。多彩な行事やハイレベルな国際教育プログラムで知られる同校の授業と、入試問題の特徴について、数学科の森山敦史先生、西岡暁先生に伺いました。

(中)数学科 森山 敦史先生 (右)数学科 西岡 暁先生 (左)インタビュアー SAPIX小学部教育情報センター 本部長 広野 雅明 氏

広野貴校の数学科の授業の特色を教えてください。

森山意識しているのは、「基礎力の徹底」「知的好奇心を刺激する」「考えることの楽しさを伝える」の3点です。まず一つめの「基礎力の徹底」ですが、数学は積み重ねの学問ですから、基礎・基本がおろそかになると、後につまずきの原因になってしまいます。そのため、毎回の授業で「基礎トレーニング」と呼ばれる小テストを行い、定着度を確認。理解が十分ではない生徒には「勉強会」に参加してもらうなど、細かくフォローしています。
また、二つめの「知的好奇心を刺激する」では、意欲の高い生徒に向けて、ジュニア数学オリンピックや広中杯といったコンテストへのチャレンジを促したりしています。三つめの「考えることの楽しさを伝える」では、生徒が主体性を持って取り組める問題提起を心がけたりしています。たとえば先日、平方根の単元で取り組んだのは「面積5の正方形は作れるか」という課題です。√5という数の概念の理解につなげるため、正方形の1辺を何cmに設定すればいいかを考えてもらいました。このように、ゲーム要素を取り入れながら問題を示すと、生徒たちは「ああでもない」「こうでもない」と目を輝かせて取り組んでくれます。

先生も生徒も元気で活気ある中学1年生の授業

広野 生徒にとってはイメージしづらい概念でも、実際に手を動かして考えると、その理解度が自然と上がっていきますね。授業の進度は速いのですか。

西岡 中2修了までに中学の学習内容を終えるため、進度は比較的速いと思います。授業は代数と幾何に分かれており、中1では代数が週4コマ、幾何が週3コマ設定されています。

広野 ICT活用についてはいかがですか。

真剣に授業を受ける高校生の姿

森山 グラフの動きや立体の断面図を説明する際に、端末を使って映像を見せることはありますが、視覚情報から「わかった気になる」ことには弊害もあります。実際に自分でかいて、再現できるようにならなければ、複雑な試験問題には対応できないからです。

広野 貴校の中学入試は、一般入試(Ⅰ期・Ⅱ期・Ⅲ期)と算数選抜の二つの入試形態を設けています。それぞれの入試について、作問のこだわりを教えてください。

森山 最近の受験生の傾向として、一度「難しい」と感じると、すぐにその問題をあきらめてしまうところがあります。そのため、いずれの入試においても、問題文を読み進めていくことで解答の道筋が見えてくるような構成を心がけています。とりわけ一般入試のほうは、Ⅰ期からⅢ期を通して、奇をてらった出題はせず、オーソドックスな問題がきちんと解けるか、基礎力・計算力があるかを重視しています。 一方、算数選抜では、意外性も大切にしたいと思っており、今年度は中学入試問題としては珍しい虫食い算を出題しました。びっくりした受験生も多かったと思いますが、そこで動揺せず、きちんと会話を読み進めていくことができたかどうかが明暗を分けたのではないでしょうか。いずれにしろ、作問の意図を正しく読み取って、一問ずつ着実にクリアしてほしいと思います。

広野 採点の際には、途中式も見てもらえるのでしょうか。

西岡 はい。たとえば、最後に必要な計算を忘れて誤答になってしまったものの、途中式が合っていた場合には8割ほど点数をつけます。反対に、答えは合っていても、そこに至った計算式や思考の過程がまったく書かれていない場合は、5割ほどの点数になります。図や表でもいいので、自分の考えをしっかり表現できる受験生を評価したいと思っています。

広野 こうした採点基準にも、地道にこつこつ努力できる生徒が多い、貴校の校風が表れていると感じます。本日はどうもありがとうございました。

入試問題にチャレンジ2025年巣鴨中学校算数選抜

School
Data

所在地
〒170-0012 豊島区上池袋1-21-1
TEL
03-3918-5311
学校長
堀内 不二夫
創立
1910年、巣園学舎を創設。 1922年に巣鴨中学を開校。
1948年、巣鴨中学校・高等学校となる。
URL
www.sugamo.ed.jp
校舎写真

110年超の伝統がつくる最先端のグローバル教育

勉強、部活動、学校行事などすべての面で、その時々に必要なことを一人ひとりの能力に応じてクリアしていくことを重視。誰にでもできる小さな努力を日々実践し、みずからの可能性を切り開いていきます。学校生活のなかで、努力の成果を得て達成感を味わう経験を積み重ね、心身の成長につなげます。また、110年超の歴史を持つ巣鴨にしかできない最先端のグローバル教育を展開。同校ならではのプログラムも数多くあり、国際社会で力強く活躍する「グローバル人材」の育成に努め、社会に出て必要となる「土台」を培います。