サピックス特別インタビュー

算数入試で問う力、
数学力を伸ばす授業〜城北中編〜

2025.06.19

「人間形成と大学進学」を教育目標に掲げる城北中学・高等学校では、学びを楽しみ、新しい未来を切り拓く人材育成に力を入れています。特色ある授業と入試問題の傾向について、校長で数学科教員の清水団先生に伺いました。

(右)校長・数学科 清水 団先生 (左)インタビュアー SAPIX小学部教育情報センター 本部長 広野 雅明 氏

広野数学の授業の進め方について教えてください。

清水 本校では、中高6年間のうち、中1・2を「基礎期」、中3・高1を「錬成期」、高2・3を「習熟期」と位置づけ、発達に合わせたカリキュラムを実践しています。数学は、「基礎期」の間に中学内容を終え、「錬成期」で高校内容に入ることを目標に、週に5コマの授業を設定。初出の単元は授業中にていねいに説明し、その後、問題集やプリントなどを通して理解の定着を促すという、復習を中心としたスタイルで進めています。また、中2から授業内容をα(代数)とβ(幾何)に分けバランスよく学んでいくのも特徴です。

広野 ICTの活用にも積極的に取り組んでいらっしゃいますね。

清水 生徒たちは1人1台のタブレット端末を所持しているので、授業中の課題を、端末を通して提出してもらったり、その日の板書や授業の動画を共有して後で見返せるようにしたりと、各教員の裁量に任せて柔軟に活用しています。タブレットがあることで、これまで板書に割いていた時間を、生徒同士の話し合いや発表に充てられるようになり、学びの質が格段に上がっていると感じます。

 

広野 生徒一人ひとりの理解度に寄り添えるという点でも、デジタルの功績は大きいですね。

清水 そのとおりです。しかし、なかには紙と鉛筆のほうがしっくりくるという生徒もいます。自分に合った学習法を見つけてもらうためにも、学校としてはさまざまなツールを用意しておくことが大切だと考えています。

広野 数学を楽しみながら学ぶために、どんなことが必要だとお考えですか。

 

清水 たとえば、立体図形の問題に出てくる立方体のイラストを思い浮かべてみてください。まず四角い図形があり、その横に線が伸びて奥行きを演出していますね。しかし、実際の立方体がそのように見えるわけではありません。便宜的に描かれた図と、実際の見え方は、ずいぶんかけ離れているものです。だからこそ、実物の立体を眺めたり、自分で模型を作ったりすることで、本質を理解しながら学んでほしいと思っています。その経験が、「学びたい」という気持ちに火をつけ、ひいては、その後の人生にとても良い影響を与えるからです。

広野 中学入試において、算数の問題を作問するうえでのこだわりを教えてください。

清水 入試問題は、学校から受験生に送る手紙ですから、本校が目指す教育の方向性が伝わるような出題をしたいと思っています。具体的には、第1問は穴埋め式の計算問題、第2問は小問集合、第3問以降は大問という構成です。いずれも途中式を求めないのは、受験生にできるだけ多くの種類の問題を解いてほしいから。小問集合も大問も、最初は比較的易しいものからスタートし、徐々に難度が上がっていきますので、「どこから解こうか」と作戦を立てるのではなく、順番に従って、素直に解き進めていくことをお勧めします。頻出単元は、「立体図形」「速さ」「場合の数」などです。

広野 貴校の問題に取り組む受験生にアドバイスをお願いします。

清水 まずは、落ち着いて第1問の計算に取り組んでください。そこで手応えを感じたら、次の問題、またさらに次の問題と、慌てずに解き進めることができるでしょう。算数に限らず「これはいったいどういうことなのだろう」という疑問を持つことは、学びのモチベーションにつながります。本校の入試でも、試験から帰宅して一息ついた頃に「そういえば、あの問題の答えは何だったんだろう」「もう一回解き直してみたいな」と思ってもらえる出題をしたいと考えています。受験生の皆さんが準備してきた力をきちんと発揮できる場にしたいと思っていますので、ぜひ果敢に挑戦してほしいですね。

入試問題にチャレンジ2024年度 中学校第1回入試 城北中学校

School
Data

所在地
〒174-8711 板橋区東新町2-28-1
TEL
03-3956-3157
学校長
清水 団
創立
1941年に設立し、1943年に現在地に移転。1947年に新制城北中学校を設置し、翌年、高等学校を発足させる。
URL
https://www.johoku.ac.jp/
校舎写真

23区内最大級の広々とした環境で真の実力を究める!

真の実力を究め、新しい未来を切り拓くことができる魅力ある人間・社会に有為な人間に成長してもらうことを大切にし、教育目標である「人間形成と大学進学」を柱に、生徒の成長をサポートしています。生徒の好奇心や探究心を刺激する「本物に触れる機会」を多く設け、みずからの伸びようとする姿勢を育てるプログラムで生徒を伸ばしていきます。23区内最大級の約4万㎡もの広大なキャンパスには、これを支える本格的な専用施設が多く設置され、校庭は創立80周年を記念して人工芝化されました。