サピックス特別インタビュー
算数入試で問う力、
数学力を伸ばす授業~浅野中編~
2025.12.18
浅野中学校・高等学校は、1920年に実業家・浅野總一郎によって設立された、「九転十起」「愛と和」を校訓に掲げる男子の進学校です。生徒の挑戦心を育む数学の授業と入試へのこだわりについて、数学科の堤敬哉先生に伺いました。
広野 数学の授業の特徴を教えてください。
堤 中高一貫校向けの教科書『体系数学』をベースに、オリジナルのテキストを使って進めています。このテキストは、歴代の数学科教員たちがアイデアを出し合い、改良を重ねてきたものです。授業の重要事項をテキストに書き込むことで「わかる」を、問題演習を数多く重ねることで「できる」を体得できるよう工夫しています。
広野 中学の授業数はどのように設定されていますか。
堤 中1・中2は代数が3時間、幾何が2時間で、中2はそれに加えて数学演習という授業が1時間あります。そして中3からは高校の内容に入り、数学Ⅰが3時間、数学Aが3時間となります。私たちが気をつけているのは、クラスや学年の違いによって学習内容に偏りが出ないようにすることです。オリジナルのテキストを活用しているのもそのためですし、近年は一人の教員が学年のすべての授業を担当するケースも増えています。
広野 中学に入学してすぐは、算数と数学とのギャップに苦しむ生徒もいるのではないでしょうか。
堤 中学入試を突破してくる子どもたちですから、算数が数学に変わっても、小学校時代の“貯金”で解けてしまう子は一定数います。しかし、それで乗り切れるのは最初だけ。証明問題のように論理的説明を求められる場面ではどうしても限界がくるので、なるべく早い段階で、算数的思考から数学的思考にシフトする必要があることを伝えています。
広野 数学を苦手とする生徒に向けたフォロー体制はありますか。
堤 定期テストの後には、成績が下位の生徒を対象に補習や追試を行っています。教員が「あれをやりなさい」と大量に指示を出しても、本人の負担感が増すだけなので、まずは「教科書の例題だけをやってみよう」「一つ前の内容からやり直してみよう」など、生徒がつまずいたポイントをていねいに探ることを大切にしています。
広野 宿題は多いのですか。
堤 はい。体系問題集を中心に出しています。以前は「中間試験までに○ページまでやっておくように」と、生徒のペースに任せる形でまとまった範囲を指定していましたが、最近は、問題集の内容を10題程度に小分けにしたプリントを配り、それを次の授業までに解いてきてもらうようにしています。長期的な学習計画を立てるのが苦手な生徒にとっては、そのように範囲を狭めた課題のほうが取り組みやすいようです。
広野 高1に「英数クラス」を設置されていますね。
堤 英語と数学の成績優秀者を対象とした選抜クラスです。とはいえ、一般クラスと同じ教員が指導しますし、使用教材や定期試験の内容も差はありません。特別なことを学ぶというよりは、高い実力を持つクラスメートと切磋琢磨し、学びのモチベーションを高める場という位置づけです。
広野 次に、中学入試の出題方針と対策のポイントを教えてください。
堤 題材そのものはオーソドックスですが、解法を暗記しただけでは解けないような、少しひねった問題を出しています。過去問を解く際には、大問を構成する各小問がどんな意図をもって置かれているのかをよく考えてほしいと思います。本校では、受験生の大半が解けるであろう“参加賞的”な(1)の問題から、そこに受験生の洞察力や思考力を組み合わせて解く(2)、(3)の問題へと、段階的にステップアップできるように誘導をつけています。まずは設問の意図を正確にとらえるところから始めてほしいですね。
広野 最後に受験生に向けてアドバイスをお願いします。
堤 私たちは、問題を「きれいに」「そつなく」解ける受験生を求めているわけではありません。たくさん手を動かし、泥臭く問題に取り組む能力を評価したいと思っています。最後まで粘り強くがんばってください。
School
Data
- 所在地
- 〒221-0012 横浜市神奈川区子安台1-3-1
- TEL
- 045-421-3281
- 学校長
- 古梶 裕之
- 創立
- 1920年、実業家・浅野總一郎翁によって浅野綜合中学校として創立。1951年、現在の中学校・高等学校名に変更。2014年新図書館、新総合体育館(打越アリーナ)完成。2016年グラウンド人工芝化完成。
- URL
- https://www.asano.ed.jp/
「九転十起」の精神で、たくましい男子を育成する進学校
戦後間もなく中高一貫体制を確立し、進学実績を伸ばしている全国有数の男子校です。各種スポーツ施設が整う恵まれた学習環境で、広大なキャンパスを取り囲む自然林は「銅像山」の愛称で親しまれています。失敗を恐れずチャレンジする「九転十起」、優しさと思いやりを表す「愛と和」を校訓とし、オリジナル教材も使用しながら密度の高い授業が展開されています。勉強・部活動・行事に積極的に取り組み、6年間でさまざまな体験を積み重ね、大きな目標へと立ち向かうたくましい精神を養っています。