サピックス特別インタビュー
算数入試で問う力、
数学力を伸ばす授業~芝中編~
2026.05.14
芝中学校・芝高等学校では、校訓「遵法自治」と仏教精神「共生」を基盤とした伸びやかな教育を通し、社会に有為な人材を育てています。生徒の主体性を伸ばす指導の工夫や入試問題の狙いについて、数学科の岡田憲治先生に伺いました。
広野 1週間の授業時間数について教えてください。
岡田 中学では、一般的な代数に当たる「数量」を週3時間、「図形」を週2時間学びます。「数量」と「図形」はそれぞれ別の教員が担当。学年で定められたシラバスはあるものの、自作のプリントを配ったり、教科書に書き込ませたりと、細かい指導手法は各教員の裁量に任されています。
広野 中高6年間の学習計画はどのように設定されていますか。
岡田 中2の2学期で中学内容を終え、3学期から高校数学に入ります。高2で文理分けを行いますが、本校では例年、理系選択者が多く、今年度は理系5クラス、文系3クラスとなっています。いずれも学力に偏りのない均等なクラス編成です。高3になると、それぞれの志望大学に合わせた科目選択制の授業が中心となり、大学入試に向けた実戦的な演習に取り組みます。
広野 数学を苦手とする生徒に対するフォローについて教えてください。
岡田
小学校時代に「質」より「量」を優先して勉強してきた生徒は、中学入学後につまずきやすい傾向があります。そのため、中1の総合的な学習の時間では、まず「学習方略」を指導し、自分の間違いを単なるケアレスミスとせず、なぜ間違えてしまったのか、自分のミスにはどんな共通点があるのかを分析し、言語化するよう意識づけをしています。
また、小テストを定期的に実施し、理解が乏しいと思われる生徒に対しては、再試を行うこともあります。しかし、それが行き過ぎてしまうと、生徒の主体性を奪いかねません。放課後の自習室で個別に声を掛けてフォローを行うなど、生徒の「みずから学びたい」という気持ちの芽生えを大切にするように心がけています。
広野 貴校ならではの特色ある取り組みなどはありますか。
岡田
週に1回、「ますおくんからの挑戦」と題した発展課題を図書館に掲出しています。ここで取り上げるのは、ジュニア数学オリンピックや、江戸時代の和算の問題など。数学に苦手意識を持っている生徒も興味を持ってチャレンジしており、これらを通して数学の奥深さや、「解けた!」という達成感を味わってほしいという狙いがあります。
そのほか「芝漬ゼミ」と呼ばれる教養講座では、希望者を対象に、東大での講座や、2021年から中高大連携協定を結んでいる近隣の東京慈恵会医科大学などに足を運び、視野を広げる機会を用意しています。東大ではいたるところで微分不可能な連続関数「高木関数」や長年の幾何学問題である「掛谷予想」をテーマにした特別講座を、東京慈恵会医科大学では運動の適応、脳神経外科についての講座や実習などを実施していただきました。理系学問に興味のある生徒はもちろん、文系学部に進むと決めている生徒も「今後、このような体験ができる機会はないだろうから」と積極的に参加してくれています。
広野 次に中学入試について伺います。毎年、基礎問題から応用問題までバランスよく出題されている印象ですが、作問の工夫と狙いをお聞かせください。
岡田 本校の入試問題は、長らく7~8つの大問数で構成してきましたが、2025年度入試から5つに減らしました。大問1は小問集合、大問2から大問5にかけては、それぞれテーマを設定し、枝問を追うごとに深く掘り下げて考えられるよう設計しています。毎年、幅広い分野から出題していますが、グラフから情報を読み取る問題や図形の問題は特に頻出です。
広野 最後に、受験生に向けてアドバイスをお願いします。
岡田 考えることを楽しみながら問題に取り組んでほしいと思います。ふだんの学習から「自分の頭で考える」「いろいろな方法を試してみる」といった、主体的な姿勢を大切にしている受験生をお待ちしています。
School
Data
- 所在地
- 〒105-0011 港区芝公園3-5-37
- TEL
- 03-3431-2629
- 学校長
- 武藤 道郎
- 創立
- 1887年、浄土宗学東京支校として設立。1906年に芝中学校創立。1948年、学制改革により芝中学校・芝高等学校となる。
- URL
- www.shiba.ac.jp
伸び伸びとした校風の下、自主自立の人間育成をめざす
浄土宗の子弟教育のために設立された学校が前身で、今年創立120周年を迎える伝統ある学校です。「遵法自治」を校訓に、大乗仏教を精神的基盤とした人間教育を実践し、自分の力で自分を治められる人間の育成をめざしています。伸びやかで自由な校風は、生徒の自主性を重んじる学園の伝統がつくり上げたもの。宗教色は強くありませんが、人間形成のため、増上寺参拝や講話などの宗教行事を取り入れているのが特徴です。先取り学習を行うなどして大学進学にも力を入れ、高い合格実績を築いています。 (2026年5月現在)