サピックス特別インタビュー

算数入試で問う力、
数学力を伸ばす授業~本郷中編~

2026.06.18

1923年の創立以来、本郷中学校・高等学校では「強健・厳正・勤勉」という校訓の下、「社会でリーダーたる人材の育成」に努めています。独自に展開する数学検定の狙いや受験生に求める資質について、数学科の石椛康朗先生に伺いました。

(左)数学科 石椛 康朗先生 (右)インタビュアー SAPIX小学部 教育情報センター 本部長 広野 雅明 氏

広野 先日、次期学習指導要領の改訂にあたって、小学校の「算数」を、中高と同じ「数学」に名称変更することが検討されているという報道がありました。小学算数と中学数学のギャップについて、どうお考えですか。

石椛 算数から数学にステップアップすると、使える知識やツールが増えて世界が広がる一方、抽象的な概念に理解が追いつかないケースが散見されます。算数と数学はひと続きの教科ではありませんから、小学校時代に算数が得意だった子も、苦手だった子も、中学ではその意識をリセットして、新たな気持ちで取り組んでほしいと思っています。

広野 それを前提に、中学数学ではどのように学びを進めていらっしゃるのですか。

石椛 中1・2では、幾何と代数を週に3コマずつ学び、中2の3学期から高校内容に入ります。2021年度から高校募集を停止したことによって、6か年を見据えた無駄のないカリキュラムが実現し、より効率的に授業を進行できるようになりました。

広野 貴校ならではの特徴的な取り組みはありますか。

石椛 対話学習の一環として、異学年による「合同授業」を行っています。これは、中2と中1の生徒2名ずつで小グループを作り、つまずきやすいポイントや考え方のコツを、先輩から後輩にアドバイスするというものです。なかには数学以外の相談をしている中1の生徒もいて、双方にとって刺激の多い時間になっています。

広野 ちなみに貴校には、異学年の生徒が同一試験に挑む独自の数学検定があるそうですね。

石椛 本郷数学基礎学力検定試験、略して「本数検」です。長期休暇明けに年3回行っています。中1・2は個別問題に取り組みますが、中3の3学期からは、高校生と同一試験である「数A」に挑戦できます。試験の得点率によって、獲得できる級や段が細かく決められているのが特徴で、高校生には「数A」「数B」「数C」、さらにそれぞれ有段者のみが挑戦できる上級試験を用意しています。異なるカテゴリーを同時受検する「二枚抜き」も認めており、最難関である「数」の「参段」に、高1で到達する猛者もいます。

広野 そうなると、上級生ものんびりしていられないですね。

石椛 検定のたびに級段獲得者は氏名と獲得級(段)が公表されるので、下級生は「先輩に追いつきたい」、上級生は「後輩には負けていられない」という気持ちに火がつき、良いサイクルを生み出しています。実際に、本数検の成績と大学受験の結果との間には相関関係がみられ、数学のみならず、他教科の学習計画力・実行力の伸長にも役立っていることがわかります。

広野 さて、貴校は2月1日・2日・5日と3回の中学入試日程を設けています。作問において意識していることはありますか。

石椛 日程によって明確な難易度の差は設けていませんが、本校を第一志望としてチャレンジしてくれる受験生に配慮し、第1回は比較的ひねりのない、解きやすい問題を多く取り入れるようにしています。すべての入試回でわれわれが確認したいのは、①基礎力が備わっているかどうか、②イメージしづらい抽象的概念を具現化する力があるかどうかです。受験生の努力の軌跡をきちんと評価したいと考えていますので、難問・奇問の対策に時間を費やすよりも、基礎・基本をていねいに固めてほしいですね。

広野 最後に、受験生に向けてメッセージをお願いします。

石椛 われわれが中高の6年間で育てたいのは、記述力と思考力です。正しい答えを導き出すことも大切ですが、それ以上に考える過程を楽しめる受験生に入学してほしいと考えています。何度も薄く塗り重ねることによって厚みを増す漆のように、地道な努力を積み重ねてきた受験生の挑戦をお待ちしています。

入試問題にチャレンジ令和7年度 本郷中学校

School
Data

所在地
〒170-0003 豊島区駒込4-11-1
TEL
03-3917-1456
学校長
木村 友彦
創立
1922年に本郷中学校を創立。1948年、学制改革により本郷高等学校普通科となり、1988年に中学校募集を再開。
URL
www.hongo.ed.jp
校舎写真

「自主自律」を重んじ、学力とともに心と体も鍛える

個性尊重の教育を通して、国家有用の人材を輩出することを建学の精神として創立されました。教育目標は「強健・厳正・勤勉」。質実剛健の気風があり、体力づくりや、身だしなみ・あいさつなど礼儀指導も重視されています。教育面では「自学自習」を重んじ、中高一貫カリキュラムの下で、すべての生徒に一定レベル以上の基礎学力をつけさせることに努めると同時に、習熟度別授業などによって、大学受験に必要な学力を養成します。都心にありながら広い人工芝のグラウンドを有するなど、充実した学習環境が整っています。 (2026年6月現在)