サピックス特別インタビュー

算数入試で問う力、
数学力を伸ばす授業~世田谷学園中編~

2026.09.24

世田谷学園中学校・高等学校では、仏教思想に基づく教育理念「Think & Share」の下、学力の養成と人間的な成長をめざした全人教育を行っています。基礎を重んじる授業のこだわりと中学入試の特徴について、数学科の鈴木泰彦先生に伺いました。

(左)数学科 鈴木 泰彦先生 (右)インタビュアー SAPIX小学部 教育情報センター 本部長 広野 雅明 氏

広野初めに、数学の授業の進め方について教えてください。

鈴木1週間のうち、中1では幾何と代数を一つにまとめた授業を5コマ、中2では「幾何」と「代数」を3コマずつ、中3では「数I」を4コマ、「数A」を2コマ学びます。中1から「本科」と「理数」の2コース制を敷き、中3からは本科コースに特進クラスを設置しています。理数コースおよび特進クラスでは、一般クラスとは異なる教材を使用し、定期テストの内容も難しめに設定するなど、より負荷の高い授業内容となっています。

広野具体的に、どのような教材を使用していらっしゃるのですか。

鈴木中1・2では中高一貫校用のテキスト、中3からは高校の検定教科書で基礎を学びます。特徴的なのは、その後に高校生になってから行う大学入試演習に用いるオリジナルテキストです。30年ほど前に作成されたものですが、細かい内容を更新しながら現在も使用しています。「スタンダード」には、すべての生徒に到達してほしい大学入試の頻出問題を、「ハイレベル」には、より高みをめざす生徒に向けた難関大学の入試問題を掲載しています。われわれも「生徒たちが大学入試における定番の問題を解けるようになるにはどのようなスキルが必要か」を逆算して授業内容を考えるなど、指導における一つの指標としています。

積極的になれる楽しい授業

広野数学が苦手な生徒に向けたフォローもあるのですか。

鈴木放課後の時間を使って、週1回「ステップアップ講習」と呼ばれる補習を開き、定期テストで成績が芳しくない生徒を対象に指導を行っています。また中学では、定期考査の前に単元の理解を確認する「統一テスト」を実施しているほか、課題のチェックも行い、生徒の小さなつまずきを見逃さないように心がけています。

鈴木放課後の時間を使って、週1回「ステップアップ講習」と呼ばれる補習を開き、定期テストで成績が芳しくない生徒を対象に指導を行っています。また中学では、定期考査の前に単元の理解を確認する「統一テスト」を実施しているほか、課題のチェックも行い、生徒の小さなつまずきを見逃さないように心がけています。

広い黒板とICTを使い分けた授業

広野授業ではICTも活用されているのですか。

鈴木生徒は1人1台のタブレットを所有しているので、関数のグラフの変化や空間図形の構造を理解するために役立てたり、定理を証明するための動画やプレゼン資料の制作に活用したりしています。これらのツールを使えば、さまざまな視覚情報によって生徒の理解を補うことはできますが、それに頼ってばかりではいけません。実際の大学入試では、デジタルの力を借りずに問題を解かなければならないわけですから、ICTを活用しながらも、あくまで紙とペンで正解を導き出すことを教育の主眼に置いています。

広野次に中学入試についてお伺いします。貴校は、1次試験、2次試験、3次試験、算数特選の4つの入試を行っていますが、これらの出題傾向の違いについて教えてください。

鈴木1~3次試験では、基礎力を重視し、真面目に勉強してきた受験生が確実に得点できるような問題を出題したいと考えています。一方、算数特選では、1~3次試験の後半に出てくるような応用問題をメインに構成しています。いずれも、特別な知識や技術を必要としない、その場で考えて解ける問題であること、そして、解き終わったときに達成感を味わえるような問題であることを心がけて作問しています。

広野これらの入試を通して、受験生のどのような力を見たいとお考えですか。

鈴木わたしたちが評価したいのは、複雑で難解な問題を解く力よりも、定番問題で確実に得点できる基礎力です。算数が苦手な受験生に共通しているのは、「自分には算数のセンスがないから」と萎縮してしまうことです。しかし、入試で良い成績を残すためには、“センス”が問われる応用問題に躍起になるよりも、基本問題を取りこぼさないことが重要です。そのためには、基礎・基本の徹底が大切ですので、ふだんの学習でもその部分を強く意識しながら取り組んでほしいと思います。

入試問題にチャレンジ 世田谷学園

School
Data

所在地
〒154-0005 世田谷区三宿1-16-31
TEL
03-3411-8661
学校長
山本 慈訓
創立
1592年創始の曹洞宗吉祥寺の学寮「旃檀林」として創立。1983年に現校名に改称。
URL
www.setagayagakuen.ac.jp
校舎写真

禅の精神に基づく人間教育と、創意ある授業が特色

曹洞宗吉祥寺の学寮を前身として創設され、禅の精神に立った人間教育を実践しています。教育理念は「Think & Share」(天上天下唯我独尊)。モットーは「明日をみつめて、今をひたすらに」「違いを認め合って、思いやりの心を」。中3から特進クラスの編成を行うなど、じっくりと着実に力をつける、きめ細かい指導を行い、その成果は難関大学への合格実績の伸びとなって表れています。今年度創立125周年を迎え、新校舎白雲館(STEAM教育センター)が完成し、さらなる教育の充実が期待されます。(2026年9月現在)