サピックス特別インタビュー

中学入試で問う力、
国語力を伸ばす授業〜巣鴨中編〜

2025.05.26

巣鴨中学校・高等学校は、1910年の創立以来「硬教育」を実践する男子校として知られます。努力主義をモットーとする同校の特色ある授業と、入試問題の特徴について、国語科の梅津真人先生、松井慶太先生、境野哲夫先生に伺いました。

右から 国語科 境野 哲夫先生 国語科 梅津 真人先生 国語科 松井 慶太先生 インタビュアー SAPIX小学部教育情報センター
本部長 広野 雅明 氏

広野まずはカリキュラムの進め方について教えてください。

梅津 中1は、「国語A」(説明的文章中心)を週3コマ、「国語B」(文学的文章中心)を週2コマ設定し、中2までに中学3年間の内容を学び終えます。また、中学入学時に、国語の教科書と一緒に漢字検定の問題集を配布。通常授業と並行して漢字検定の対策にも取り組み、中1修了時に3級以上を取得することを目標にしています。

広野 中学生のうちから古典に触れる機会もあるのですか。

梅津 中2からは「国語A」「国語B」に加えて「漢文」という授業が始まりますが、中1では、『竹取物語』や故事成語などの身近な題材を取り上げながら、古典の導入としています。また、本校では学校行事として「百人一首歌留多大会」があります。中1には大会参加を入り口に古典に親しみを持ってもらいたいと考えています。

広野 授業を展開するうえで心がけていることを教えてください。

「読むこと・書くこと」を大切にする授業

松井 生徒の成長度をていねいに観察しながら、取り上げる作品を柔軟に調整するようにしています。カリキュラム上「この時期までにこの単元を終えなくてはいけない」というラインはありますが、ただやみくもに先取りすればいいというものではありません。たとえば、夏目漱石の『こころ』は、高1で読むより、高2で読むほうが、登場人物の心情理解が深まります。ですから、そこは教員がしっかりと教材研究をして、適切な作品を適切な時期に提示できるよう気を配っています。

広野 最近の子どもたちの「読書離れ」についてはどうお考えですか。

中学で使用される教材例

境野 スマホやタブレットの普及により、昔に比べて生徒たちが紙の本を読まなくなっているのは確かです。そこで、まずは「読むこと」に関心を持ってもらおうと、授業の前に「読書紹介」として、お薦めの作品を一人一冊紹介してもらう時間を設けています。一方、「書くこと」では、新潮社の「新潮文庫 中高生のためのワタシの一行大賞」や、短編小説コンテストへの作品応募を目標にしています。まずは、少ない文章量からでもいいので、自分のことばで表現するおもしろさに触れてほしいと思っています。
  本校の図書館は3万5000冊を超える蔵書を誇り、司書や図書委員総務の生徒たちの尽力によって、話題の本がすぐ手に取れる環境が整っています。また、生徒全員が所有するPCを使えば、百科事典や新書、参考書など1000冊以上を検索・閲覧できるインターネットサービスにもアクセスできます。読書について非常に恵まれた環境にありますので、生徒たちには、これらを積極的に活用して、読書の幅を広げてほしいと思っています。

広野 さて、中学入試では、受験生のどのような力を見たいとお考えですか。

松井 基本的な読み取りと文法事項、漢字の知識を問いたいと思っています。記述問題も出題しますが、文中の語をパッチワークのようにつなげるのではなく、自分のことばできちんと表現できているかが評価基準となります。

広野 貴校の試験問題に取り組むうえで、気をつけるべきポイントを教えてください。

松井 わからない問題に直面しても、そこを“飛ばす”のではなく、段階的に解き進めていくことを心がけてほしいですね。設問自体がヒントになっていることが多いので、そこから解決の糸口が見えてくるはずです。また記述問題では、文末処理のほか、主語や述語をていねいに接続することを意識し、最後まであきらめずに取り組んでほしいと思います。
  学校説明会ではよく、受験生の保護者の方から「うちの子、本を読まないのですが大丈夫でしょうか」という相談を受けます。しかし、たくさん本を読んでいることと、試験で点数が取れることは必ずしもイコールではありません。読書量は中学入学後に増やしていけばいいので、まずは目の前の文章を正しく読み取ることを意識してほしいですね。

入試問題にチャレンジ2025年巣鴨中学校 国語

School
Data

所在地
〒170-0012 豊島区上池袋1-21-1
TEL
03-3918-5311
学校長
堀内 不二夫
創立
1910年、巣園学舎を創設。1922年に巣鴨中学校を開校。
1948年、巣鴨中学校・高等学校となる。
URL
www.sugamo.ed.jp
校舎写真

110年超の伝統がつくる最先端のグローバル教育

勉強、部活動、学校行事などすべての面で、その時々に必要なことを一人ひとりの能力に応じてクリアしていくことを重視。誰にでもできる小さな努力を日々実践し、みずからの可能性を切り開いていきます。学校生活のなかで、努力の成果を得て達成感を味わう経験を積み重ね、心身の成長につなげます。また、110年超の歴史を持つ巣鴨にしかできない最先端のグローバル教育を展開。同校ならではのプログラムも数多くあり、国際社会で力強く活躍する「グローバル人材」の育成に努め、社会に出て必要となる「土台」を培います。