サピックス特別インタビュー

名門校は授業こそが魅力
〜攻玉社中・英語編〜

2025.10.20

攻玉社中学校・高等学校では、帰国生の受け入れを積極的に行うなど、グローバル人材の育成に力を入れている学校として知られます。そんな同校の授業の特色や帰国生入試の内容について、英語科の石原耕太郎先生に伺いました。

(右)英語科 石原 耕太郎先生 (左)インタビュアー SAPIX小学部 教育情報センター 本部長 広野 雅明 氏

広野 2020年度から小学校で英語が必修化されました。必修化の前と後で、貴校の英語教育に変化はありますか。

石原 教育内容は以前と変わりません。「昔ながらの」という言い方が適切かどうかはわかりませんが、伝統的な英語教育を踏襲し、文法や語彙の習得を中心とした読解力の確立に力を入れています。ただ、中学入学時点では、小学校での学習経験や習い事の有無によって英語力にばらつきがあるのは事実です。たとえ初学者であっても、スムーズに授業内容になじめるよう、中1の最初はアルファベットの大文字・小文字の練習から始めていきます。

広野 授業において力を入れているのはどんなところですか。

石原 中学の間は、音読を徹底して訓練するようにしています。また、リスニングも重視しており、毎回の授業の冒頭で聞き取りや書き取り(ディクテーション)を行います。最近は、生徒が一人1台所有しているPCにデジタル教科書がインストールされているので、空いた時間にリスニング教材を開いて各自練習しているようです。「家でCDを聞いてくるように」と指導していた時代と比べて、練習したいと思ったらすぐに取り組める今の環境は、生徒たちの学習意欲の向上に大きく寄与していると感じます。

授業の様子
授業の様子

広野 中学に設置されている「国際学級」について教えてください。

石原 国際学級は帰国生を中心としたクラスで、中学3年間は一般学級と分かれて授業を受けます。昨年度からカリキュラムの見直しを行い、英語圏帰国生に対しては週6時間設定している英語の授業のうち、ネイティブ教員によるオールイングリッシュの授業を1時間から3時間に増やしました。「情報リテラシー」「文学・哲学探究」「現代的トピック」を中心としたCBI(内容重視の言語教育)を採用し、ディスカッションやプレゼンテーションのスキル向上を図っています。残りの3時間は、日本人教員による語彙や文法、読解の授業です。これらを通して、バランスの取れた英語力の完成をめざしていきます。

広野 一般学級でもネイティブによる授業は行われているのですか。

石原 はい。中1・2では、週1時間「英会話」の授業を設けており、ネイティブ教員が指導を担当します。1クラスを3分割した少人数制で、積極的な発話を促すのが特徴です。

広野 高校からは国際学級と一般学級が混在したクラス編成となります。一般学級の生徒は、国際学級の生徒の英語力に圧倒されるのではないですか。

石原 そんなことはありません。模試や定期試験では、まじめに努力した一般学級の生徒が帰国生の成績を上回ることも少なくありません。一般生か帰国生かというより、日々の課題にきちんと取り組んでいるかどうかが、成績の良し悪しを分ける印象です。

広野 国際学級の入試科目は、国語・算数または英語の選択制です。このうち、英語の試験ではどのような問題が課されるのでしょうか。

石原 はじめに語彙と文法の知識を問い、その後に論説文や小説の読解問題が続く形です。難度としては、英検®準1級~1級レベルとお考えください。

広野 貴校の海外研修制度について教えてください。

石原 中3と高1の希望者を対象に、オーストラリアのパースでホームステイを体験する11日間の海外研修を用意しています。オーストラリアの文化や歴史、ライフスタイルなど、日本との違いを身をもって知ることで、英語力のみならず、国際的な教養や人間力を養うことを目的としています。

広野 海外大学を志望する生徒も多いのですか。

石原 現時点では決して多いわけではありませんが、国際学級のカリキュラム改訂、ネイティブ教員の増員、それに伴う授業数の増加など、今まで以上に英語力の向上に力を入れているところです。生徒には海外大学も将来の選択肢の一つに加え、広い視野でキャリアを考えてほしいと思っています。

  • 英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
攻玉社中学校英語選定学年末試験問題にチャレンジ2024年度中学1年3学期年度末試験

School
Data

所在地
141-0031 品川区西五反田5-14-2
TEL
03-3493-0331
学校長
藤田 陽一
創立
1863年創立の蘭学塾を前身に1872年に攻玉社を開校。1947年、攻玉社中学校となり、その翌年高等学校を設立した。
URL
kogyokusha.ed.jp
校舎写真

きめ細かいサポートで、6年間一貫教育を推進

1863年に蘭学者、近藤真琴によって創立された私塾を前身とする、歴史ある学校です。校名は詩経の「他山の石、以て玉をみがくべし」(粗悪な石でも玉を磨くための砥石とすることができる)に由来。そこには、知徳を磨くことで、大きな志を持って世界に飛躍してほしいという同校の理念が込められています。そのため、中高6年間を3つのステージに分けて、きめ細かい学習指導を行い、同時に道徳教育にも力を入れながら、6年間一貫教育を推進します。帰国生に配慮した国際学級があるのも特色の1つです。