サピックス特別インタビュー
名門校は授業こそが魅力
~白百合学園中・理科編~
2026.10.22
白百合学園中学高等学校では、「従順」「勤勉」「愛徳」の校訓の下、キリスト教精神に基づく女子教育を実践しています。理科実験を多く取り入れた“本物”に触れる授業の様子と中学入試の狙いについて、理科主任の鈴木悦子先生に伺いました。
広野 中学では理科の授業をどのように進めていらっしゃいますか。
鈴木 中1は週3コマ、中2・3は週4コマの授業時間を設定し、物理・化学・生物・地学の4分野をまんべんなく学びます。本校には、併設小から内部進学した生徒、中学入試を経て入学した生徒、そのなかでも帰国生入試を利用した生徒と、さまざまなバックグラウンドを持つ生徒が集まりますので、確実な理解につなげるために、先取り学習は行わず、学年相応の内容を中心に授業を進めています。
広野 実験や観察の機会も多いのですか。
鈴木 はい。本校の生徒たちは小学校時代の学習経歴が異なります。そのため、座学での一方的な授業よりも、本物に触れ、納得感を持って学ぶことが重要だと考え、実験や観察の機会を多く設けています。その結果、中学3年間で経験する実験は100以上です。
広野 具体的にはどのような実験や観察を行っていらっしゃるのですか。
鈴木 花のスケッチに始まり、本校オリジナルキットでの電流実験、ブタの臓器やイカ、アサリの解剖、未知試料中の陽イオンの定性分析、木の葉化石の発掘体験など、可能な限りさまざまなジャンルの観察・実験に取り組みます。特徴的なのは、どれも「やりっぱなし」で終わるのではなく、データの収集や分析までを繰り返し行うところです。主に物理分野で行われる数値の測定は、グループによって誤差が大きく、思ったような結果が得られないこともあります。しかし、その場合も「なぜうまくいかなかったのか」を考えることで、次の学びにつなげられるよう促しています。
広野 フィールドワークの機会もあるのですか。
鈴木 高2の生物選択者は富士山に出かけ、標高によって植生が異なる「垂直分布」をその目で確かめます。5合目までバスで移動する間にも植物の種類が変わっていくのがわかりますし、5合目では「森林限界」や、樹木が強風の影響を受けて風下側にだけ枝を伸ばす「旗形樹形」の様子を観察することもできます。いずれも教科書に記載がある知識ですが、実際に見て、触れることで、より深い理解につなげてもらいたいと考えています。
広野 自由研究も盛んなのですか。
鈴木 長期休暇に合わせて、希望者のみを対象に実施しています。オリジナルコスメ作りや、ビー玉が上に登っていくように見える錯視装置の制作など、生徒のユニークな観点から生み出された成果物は、どれもクオリティーが高く、見応えがあります。
広野 近年は、理系志望者が増えている印象がありますね。
鈴木 はい。1学年約180人のうち、100人前後が理系志望です。なかでも、「世の中に役立つ仕事がしたい」という動機から、医学部をめざす生徒が多いのが特徴です。「医学部は成績トップの生徒が行くところだ」という固定観念が強い学校ですと、自分が医学部志望であることを言い出しにくい空気があるように思いますが、本校には同じ志を持つ仲間がたくさんいますから、高い目標にも臆することなくチャレンジできる環境にあると言えます。
広野 次に、中学入試の特徴について教えてください。
鈴木 4分野がそれぞれ同等の配点になるよう、偏りのない出題を心がけています。また近年は、大学入学共通テストの傾向も踏まえて、問題文のボリュームがやや多めになっています。受験生の努力を評価する知識問題はもちろんですが、「問題文から必要な情報をきちんと読み取れているか」も併せて確認したいと考えています。
広野 最後に受験生にメッセージをお願いします。
鈴木 さまざまな知識を得ることは、世界を見る切り口が増えるということです。理科が好きな方だけではなく苦手な方もいるとは思いますが、自分の世界を広げるためにも、さまざまなことに興味を持ちましょう。ご家族と一緒に、科学館や水族館、動物園に足を運んでみてください。ひょっとしたら理科を今より好きになれるかもしれません。
School
Data
- 所在地
- 〒102-8185 千代田区九段北2-4-1
- TEL
- 03-3234-6661
- 学校長
- 青木 タマキ
- 創立
- シャルトル聖パウロ修道女会を母体に1881年に設立。1947年に中学校、1948年に高等学校を開校。
- URL
- www.shirayuri.ed.jp
「キリストの愛の教え」に基づく全人教育を実践
校訓は「従順・勤勉・愛徳」。カトリックの精神を基盤に、キリストの愛の教えに基づく全人教育を通して、「誠実さと愛をもって社会に貢献できる女性の育成」をめざしています。宗教教育がすべての教育活動の基盤となっており、宗教の授業をはじめ、宗教行事やボランティア活動など、学園生活のあらゆる場面で“愛と奉仕”の心を育てます。豊かな知性と感性をバランスよく身につけ、自己を確立するとともに、将来、国際社会で人々が必要としていることに気づき、人々の幸せのために奉仕できる芯の通った女性の育成をめざしています。 (2026年10月現在)