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バッファの効用
2025.08.18
サピックス教務本部
バッファとは、緩衝材・緩和物を意味する英語のbufferから来た言葉で、IT用語としては、データを一時的に保持しておくための記憶領域という意味で用いられます。一方、ビジネスの分野では、「時間的、資源的な余裕」という意味で用いられています。お子様の学習スケジュールを考えるとき、このビジネスにおけるバッファの考え方は非常に有効です。今回は、バッファを持たせた学習スケジュールの重要性につて考えてみたいと思います。
学年が上がるにつれて、学習スケジュールを綿密に立て、計画的に日々の学習に臨んでいる、というご家庭も多いかと思います。学習スケジュールというものは、なかなか計画通りに進まないものです。たとえうまくいかなくても粘り強くトライ&エラーを繰り返しながら、徐々にお子様に適した学習スケジュールが出来あがっていけばよいのです。学習スケジュールを立てる際に大切なのは、割くことのできる時間をすべて学習に組み込むのではなく、あえて時間的な余裕(バッファ)を持たせてスケジュールを組んでおくようにすることです。例えば、1週間の学習スケジュールを組む際に、月曜日~土曜日だけで、1週間にこなそうと思っている学習内容を盛り込んでスケジュールを組みます。そして、日曜日を「バッファ」として何も予定せず、少し余裕を持たせた学習スケジュールを組んでおくのです。一方、「バッファ」に当たる日は、月曜日~土曜日の学習スケジュールがうまく進み、目標を達成できたら、お子様が好きなように使える時間にしておきます。思い切って「バッファ」を持たせ、ご褒美を設けておくことで、お子様は何とか期限までに学習スケジュールをこなそうと集中して学習するようになり、メリハリをつけて学習に取り組めるようになるかもしれません。また、自身が立てた学習スケジュールがうまくいかず目標達成が難しくなったときでも、「バッファ」として残しておいた時間を急遽学習に充てることで、何とか目標を達成することもできるはずです。
このように、自分自身で立てた目標を達成できれば、そのこと自体がちょっとした成功体験となります。この成功体験を積み上げていく中で、子どもは自信を深め、自立して学習するようになり、知らないうちに自己管理にも長けていくようになるのです。学習スケジュールを組む際は、ぜひ、「バッファ」の効用にも注目してみてください。