Sサプリメント

得意→不得意→また得意?

2026.01.26

サピックス小学部 事業本部長  溝端 宏光

サピックス小学部 事業本部長
 溝端 宏光

自分自身の小学生時代を振り返ると、テストで点数が取れるという意味では国語が一番得意でしたが、一番好きな科目は算数でした。

Sサプリメントとは別のコラムでは触れたことがあるのですが、小学生時代の私はお世辞にもまじめな生徒とは言えず、コツコツ取り組むのが苦手でムラのある生徒でした。苦手科目は断トツで社会。理由は言うまでもありませんね。そして理科については、計算で解ける分野は好きだが覚えることが多い分野は……という状況でした。

これも別のコラムではすでに触れた話ですが、私は“丸暗記”がとても苦手です。何か印象的な出来事とセットであれば覚えられるのですが、そういったことが何もない状態で暗記することを非常に苦手にしています。例えば世界の国名や都市名。行ったことのある国や都市の名前や位置は覚えられるのですが、そうではない所については一度覚えたとしてもすぐに頭から抜けてしまいます。重症なのは、今でも日本国内の県名や県庁所在地があやふやなことですね。覚えるのが得意な人がどのようにしているのかについては、ぜひ知りたいところです。

自分自身のことを振り返って見ると、興味があるか無いかが記憶の残り方に大きく影響していた気がしています。子供のころから、興味・関心の範囲が自分の目に触れるところに限定されてしまう傾向にあり、その代わり1つのことが気になりだすとずっと拘りがちであるという特性がありました。そういったことが記憶力の偏りにもつながっていた気がしています。

ちなみに残る算数と国語のうち、得点が取れるのは国語、好きなのは算数でした。好きな科目と得意な科目は違っていたのです。算数が好きだった理由ですが、自分自身の勉強の取り組み方として、「正解できたら嬉しい」「高得点を取れたら自信になる」といったようにゲーム感覚で取り組んでいた部分があり、答が一通りに決まる算数という科目が合っていたのだろうと思っています。

国語については、小学生時代は点数が取れるという意味での得意科目でしたが、中学生になり、どちらかというと苦手科目になりました。高校生になってもしばらくは苦手科目だったのですが、大学受験が近づいてきたところで取り組み方を変えたところ、再び点数が取れるようになりました。

ここまで書くともうお気づきかもしれませんが、今回のタイトル「得意→不得意→また得意?」は私自身の国語の成績のことです。

小学生時代に得意だった要因の一つとして、幼少期に漢字や言葉についてしっかりと指導してもらったということが挙げられると思います。私自身、小学1年生から塾に通っており、1年生・2年生のときの国語の先生が、漢字を厳しくみる先生で、言葉についても厳格な人だったそうです。正直なところ、私自身はその先生のことをほとんど覚えていないのですが、高学年になった際に両親から「いま国語ができているのはその先生のおかげだ」と何度も聞かされました。冒頭で述べた通り、受験生としては非常にムラのある生徒でしたが、幼いころに身につけたことは役に立ったのだと思います。

それが中学になると、国語が苦手に変わりました。この要因は二つ挙げられると思います。一つは、幼少期の貯金が尽きてきたことです。言葉を覚えたり漢字を練習したりするのが途中で億劫になり、後回しにするようになった結果、だんだんとアドバンテージが無くなってきたのだと思います。
もう一つは、テクニックに頼りすぎていたことです。私は関西の出身で、自分が中学受験生だった頃の国語の問題はさほどレベルが高くはありませんでした。そのため、“傍線部の前後に注目して答えを探す”とか、“指定された文字数と同じ文字数の個所を文章中から見つける”といったテクニックである程度の問題が解けてしまっていたのです。算数と同じくゲーム感覚で取り組んでいて、文章に書かれた内容を理解するということができていなかったのだと思います。その証拠に、私が国語で一番苦手としていたのは「段落分け」の問題でした。

中学生になって文章の内容が難しくなってくると、こうした小手先のテクニックではどうにもならなくなり、テストの点数も低下するように……。高校に上がってもしばらくは得点が取れない状態が続いていました。
大学入試が近づいてくると、ようやく「このままではマズい…」と思うようになりました。「遅い!」というツッコミが入りそうですが、実際に行動に移せたのは高校2年生の終わりくらい。そのころには、自分の何がいけないのかがある程度わかっていましたので、テストの際に、文章に書かれたことを自分なりに簡略化してまとめてから問題を解くように取り組み方を変えました。簡略化するのは、授業中に先生が板書でまとめている方法を参考にして真似をするところからスタートしたのです。
これをやり始めてから、成績が格段に上がりました。大学受験の国語は現代文だけではなく古文や漢文もありますが、もともと古文や漢文は語調が好きなこともあって割と得意にしていましたので、現代文の成績が上がると、国語で安定して高得点が取れるようになったのです。
このように、大学受験の時期になって初めて、私は文章をきちんと理解して解き進めることの大事さと有用さを実感したわけです。

今回はあえて、自分の取り組み方の良くなかった部分も含めて書いてみました。理想的な勉強法が書かれた文章はたくさんありますが、そうではないことも含めて読んで頂いた方が参考になるのではないかと思ってのことです。
今回はあえて触れませんでしたが、実は、私が授業を担当している算数についても、昔の失敗エピソードがあります。それは、また機会があればお話ししたいと思います。