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「単に覚えただけ」だと忘れますが…?

2026.07.27

サピックス教務本部本部長  加藤 宏章

サピックス教務本部本部長
加藤 宏章

夏休みや秋の連休に、お出かけを計画しているご家庭も多いでしょう。私は社会科担当ですので、「おすすめの旅行先はどこですか?」とご質問をいただくことも多いのですが、常に「どこでも学びがありますので、お好きなところで」とお返事してきました。ただ、「行き先はどこでもよいのですが、ぜひ、お子様が『ああ、こういうことか』と思えるような経験をさせてあげてください」ともお願いしています。

例えば「野辺山原などでは、夏でも涼しい気候を生かして高原野菜を栽培している」ということは知っていても、実際にどのくらいの気温で、どんな地形で畑がつくられているのか体感すると、理解の深さがちがいます。歴史博物館などであれば、複製品に直接触れられる展示も少なくありません(私も子ども時代に銅鐸のレプリカを鳴らしたり、竪穴住居で横になってみたことがあります)ので、当時の人々の生活を理解しやすくなるでしょう。

これらに共通なのは、「実感をともなって理解する」ということです。受け身で教わったこと、とりあえず覚えたことは忘れやすいものです。ただ、実体験と結びついて理解できたものはかなり忘れにくくなります。

これはふだんの学習についても同様で、自分で苦労して見つけたものはなかなか忘れませんし、「前はこれで解けたので、また試してみよう」と思えるようになります。そういった経験が多いほど入試で試すことができる引き出しが多くなり、対応できる問題が増えていきます。また、いちど自転車に乗れるようになると、乗り方の説明はできなくても体が覚えているように、たとえ学習した内容は忘れても、学習技能は失われません。日々の生活や学習の中で、ぜひ、「ああ、こういうことか」と思える体験をたくさんしてほしいと思っています。