Sサプリメント
「5082」
2026.10.26
サピックス小学部 算数科
突然ですが、最近、素因数分解したことありますか? 受験生ならありそうですが、大人になると年に1回あるかどうかも怪しいのかなと思います。大人はそれでも全くかまわないのですが、受験生なら、いや中学入試を目指す高学年の生徒なら、ぜひ、『1日1回は、素因数分解する』習慣を持ってほしいと思います。
先日の6年生の授業で、4桁の整数を素因数分解することがありました。速い子は10秒もかからずスイスイなのに対して、1分経っても唸っている子もいました。たかだか1分かもしれませんが、積み重なると大きな差になります。スイスイの子に聞いてみると「毎日素因数分解してますっ」だそうで、唸っていた子からの「えっ?なんで?いつ?」という問いに、「(車の)ナンバープレートとかあるじゃん」と返していました。
そんなの算数が得意な子、数の感覚のある子の話で、うちの子には無理という方も少なくないと思います。でも、あえて、言います。ぜひ、『1日1回、素因数分解する』習慣を持ってみましょう。目に入った大きい数、なんでもOKです。半年、いや3か月、いや2週間でもいいので、だまされたと思ってやってみてください。だんだん大きな数が怖くなくなり、数の感覚が少しずつ身について、磨かれていくはずです。
さて、こんな記事を書いても、ほとんど受け入れてもらえないのでは?という不安もあります。それでも書いてみたのは、自分の背中を押してくれる出来事があったからです。
この夏、所属部署のあるフロアで、レイアウト変更にともなうプチお引っ越しがありました。お引っ越し後しばらくして、デスク上の電話機の内線番号を確認してくださいというお知らせがきて、ふとディスプレイを見たら、なんとなんと5082でした。ほとんどの方が、ん?それがどうした?なにか特別な番号なの?と疑問しかない状態かと思いますが、もう少しおつきあいください。
5082は知る人ぞ知る漫才コンビ「ゼゼカラ」が、初めてM-1グランプリの予選に出場したときのエントリー№です。と言っても、実在のコンビではなく、2024年度の本屋大賞受賞作『成瀬は天下を取りにいく』の作中で登場するコンビです。そして、その予選会場で番号を受け取った直後に、主人公が5082を素因数分解して(5082=2×3×7×11×11)、さらに、大きい数を見ると素因数分解したくなるんだと言う場面があります。だよね、だよねとうなずきながら読み、また、5082を選んだ作者のセンスに敬服しました。そして、この場面をいつかどこかで紹介する機会があったらいいなと日々思っていました。そんな自分には、内線番号は輝いて見えたのでした。