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家庭学習での記述問題の採点の方法
2025.11.10
サピックス小学部 国語科
家庭学習でお子様の解いた記述問題を保護者の方が採点する際、「模範解答と比べても、子どもの答えに何点つけてよいのか迷ってしまう」というご相談を受けることがあります。今回は家庭学習で記述問題の採点をどのように行えばよいか、という点をお伝えしたいと思います。
10点満点の記述問題で、保護者の方が「5点」とつけたのに対し、お子様が「8点はあるはずだ」と訴え親子ゲンカになってしまう…といった状況があるかもしれません。そういった場合は「8点」にしてしまって構いません。そのかわり、どの部分の表現が不足していたか、別の言い回しにどのようなものがあったかという確認をして、新たな気づきが得られればよいのです。点数にこだわる必要はありません。
たとえば、
「私は嘘をついたが、お母さんがその嘘を信じ込んでいてうしろめたい気持ち。」
という模範解答に対して、お子様が解答に「うしろめたい」ではなく「申し訳ない」と書いていたらどのように採点すべきでしょうか。
この場合は減点する必要はありません。自分のついた嘘にお母さんが騙されていることに自責の念を抱いている点で、「うしろめたい」も「申し訳ない」も同じ方向性の言葉だからです。ただし、「『うしろめたい』という書き方もできるね」と確認はしたいところです。
次に、「かなしい」「いやな気持ち」と書いている場合はどうでしょうか。
たしかに否定的なニュアンスはありますが、自責の念を抱いているということは伝わりませんので、減点となります。しかし、前述のとおりそれで親子ゲンカになってしまう場合はあえて点数はつけずに、「『うしろめたい』という言葉を使うとより正確に意味が伝わるよ」と確認をすればよいのです。
では、「私は嘘をついたが、お母さんがその嘘を信じ込んでいて安心する気持ち。」とお子様が書いていた場合はどうでしょうか。
たしかにほとんど模範解答通りですが、結論が「うしろめたい」ではなく「安心する」と真逆になってしまっています。この場合、お子様は本文自体を大きく読み間違っているおそれがあります。厳しく採点するならば「バツ」ですが、これもあえて点数はつけずにもう一度本文の内容を確認することに時間を割いた方がよいでしょう。
日本語は結論となる文の最後が肝心です。ですから、記述の採点も
①「うしろめたい(結論)」→②「お母さんが嘘を信じ込んでいる(理由)」→③「私は嘘をついた(背景)」
のように模範解答の文の後ろから要素を分けてお子様の解答と照らし合わせると、どのくらいポイントを押さえて書けているかがチェックしやすいのです。
そして、採点は6年生になったらお子様自身ができるように、徐々に保護者の方主体からお子様主体に移行できるといいですね。