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本文に何も書き込みをしないけれど?
2025.12.8
サピックス小学部 国語科
保護者の方からのご相談で、「線を引いたり印をつけたりしながら本文を読みましょう、ということをよく聞くのですが、うちの子は何も書き込まずテキストがまっ白です」というものがあります。反対に「ほぼすべての文に線を引いていて意味がないと思うのですが大丈夫ですか」といった相談をお受けすることもあります。
今回はこのようなご不安についてお答えしたいと思います。
「書き込みをしながら本文を読む」という作業は、本文の構成を客観的にとらえたり、内容を整理したりするために行うものです。
ですから、線や印を書き込むことそのものが目的となり、読み終わった後に本文の内容が理解できていないとなると本末転倒です。
まず、本文に何も書き込みができないお子様には、ポイントを1つだけに絞って声掛けをすることがよいでしょう。
たとえば、「やさしい、とか気が強いなど、人物の性格がわかる言葉が出てきたら線を引こう」「『一つ目は』『二つ目は』みたいに列挙する言葉を丸で囲もう」などです。
本文にチェックを入れるべき箇所はもっとたくさんありますが、あれもこれも指示すると、その作業が苦手なお子様は混乱します。
「自分で印をつけた箇所が問題を解く際に役立った」という経験をすると、次の機会にもまた線を引いたり、印をつけたりしながら読もうという意欲にもつながります。
その際に、「今度は場面が切り替わるところに印をつけてみよう」というように目標を増やしていけばよいのです。
次に、本文に線を引き過ぎて逆に読みづらくなってしまっているお子様には、単に線を引くのではなく、「段落のかたまりをかっこでくくってみる」、「離れた2か所の表現を矢印で結んでみる」という作業も交えてみるという目標を提示するとよいでしょう。
たとえば、「具体例が書かれている範囲をかっこでくくる」「二つの物事を比較しているところを矢印で結ぶ」などです。
国語の読解において、「さっき書いてあった表現がここで言い換えられているな」「主人公の本心は前の場面で書かれていたな」などと、前のページを振り返りながら流れをつかむことはとても重要です。
「線を引くだけ」の作業から、「横のつながりを結ぶ」作業に移行できると本文の読みが深まるでしょう。
本文への書き込みは、4,5年生国語Aテキスト『読解メソッド』の解答解説にある「文章への書き込み例」がひとつの見本にもなりますので、参考にしてみてください。